静かなる来訪者/Quiet Visitors

 HD/video/16:9/12min


・制作意図
この映像は、SF的な世界観に基づいている。
人間以外の存在は、カメラが何なのかを知らない。
彼らにとってカメラは、他の大きな生物から隠れるための障害物に過ぎない。
いずれ我々が他の星に降り立ったとき、そこに存在する物の意味を理解できないのと同様に、静かなる来訪者たちにとってカメラは、知り得ない物である。
我々の世界は彼らの目線から見て、どのように映っているだろうか。

・制作概要
川で捉えたカニ(50匹程度)を、ビジネスホテルの一室に放ち、撮影する。
小型のハイビジョンカメラで撮影を行った。
カニをビジネスホテルで撮影するというイメージのみを先に設定し、後は全て撮影を行いながら、考えて撮影している。
映像には、何度か撮影者自身が登場するが、スタッフは他にいないので、カメラが三脚に放置された状態での撮影を行っている。
映像を見る限りわからないが、カニを出来るだけカメラの近い位置で撮影するために、カニを写しているシーンにおいても撮影者は、必ずしもカメラの後ろにいない。
カメラの背後に人間がいると、カニはカメラの前まで寄って来ないからだ。
この映画においては、カメラの背後に誰がいるのかということよりも、カメラに写っているものが何かということが最も重要であると考えている

第18回学生CGコンテストノミネート 評価員賞受賞
http://www.cgarts.or.jp/scg/2012/nominated.html#5

イメージフォーラムフェスティバル2012出品作品
http://imageforumfestival.com/静かなる来訪者:仲本拡史/



(以下、イメージフォーラムフェスティバル2012による解説)






ホテルの一室。男が湾岸から大量に採集したカニの群れがスーツケースから這い出し、部屋中に広がっていく。床のカーペット、デスク、ベッド、洗面台。デスクの角から落下したり、ベッドカバーの折り目に入り込んだり、カニの群れはカメラで撮られていることにかかわりなく自由に動き回る。その静かな無言の行動には超常的な不気味さが漂う。